『「あなた」という商品を高く売る方法』の書評|転職市場で迷子にならないために大事な考え方を学んだ

『「あなた」という商品を高く売る方法』(永井 孝尚 著 NHK出版)を読んだので書評を書いていきます。
『100円のコーラを1000円で売る方法』のベストセラーを書いている永井 孝尚氏がキャリア戦略にマーケティングの考えを取り入れて書いた本です。
正式なタイトルは、『「あなた」という商品を高く売る方法―キャリア戦略をマーケティングから考える』です。
自分のキャリアを商品に見立てて、マーケティングや経営戦略の考え方をもちいて、どう自分のキャリアを高く売っていくか、自分という商品を作っていくか?についての全体像が書かれています。
例えば、バリュープロポジションというものがあります。
『相手が求めていて、自分しか提供できない価値』のことをバリュープロポジションといいます。
そういったマーケティングや経営戦略の考え方をもちいて、キャリアをどう築いていくか?を説明してくれる本でした。
それでは、さっそく自分が特に勉強になった点を引用しながら、気づきや感想を書いていきます。
目次
戦わずして勝つことこそ、キャリア戦略の基本となる
他人と競争せずして、勝つことこそ、キャリア戦略の基本となる考え方と書いてありました。
たしかに、競争するより、競争しないほうが勝てます。
というか、戦わないから『不戦勝』ですよね。
競争せずとも勝てるようになった背景としては、消費者のニーズが細分化したことにあります。
細分化したニーズに特化すれば、ライバルはいなくなり、競争は避けられ、結果として戦わずして勝てるのです。
誰にでも出来ることしか、できないと「あなたの代わりはいくらでもいます」という状態になってしまう。
あなたが狙うべきは完全独占だ。
つまり「好きなことで、誰もやっていないこと」をやる。
完全独占を狙う戦略が、あなたという商品価値を高めることにつながるのだ
自分しか提供できない価値をもっていれば、完全独占できる確率が上がると思います。
他人も出来ることを自分が出来るだけでは、差別化ができず、年齢が若いとか、安い給料でもいいと言っている、家が近い=残業してくれそう、とかの他の条件とあわせて、比較検討されてしまうでしょう。
比較検討されない完全独占状態を築き上げることができれば、転職や就職も有利になるし、給料や役職にも反映されていくでしょう。
戦わずして勝てる自分を作り上げる方法
自分にしか出来ないことがあっても、それを誰も求めていなければ、市場価値はありません。
提供する相手があってこそのキャリアです。
人間は誰かとの関係性の中で生きています。
自分のキャリアを築いていく過程でも、必ず、提供する相手との関係性を考えないといけません。
すなわち、「相手が求めていること」を真剣に考えることが大事です。
このように「相手が求めていて、自分しか提供できない価値」のことを、「バリュープロポジション」という。
あなたの商品価値を高めるためには、「あなた」のバリュープロポジションをつくることが必要だ。
ポイントがある。
いくら自分で「これはいい」と思っても、それだけではダメ。
相手がほしいものでなければ話にならない。
しかし相手がほしいものでも、他に選択肢があればダメ。
他に選択肢がない唯一の存在になって、初めて戦わずして勝てるのだ
上記の内容が『「あなた」という商品を高く売る方法―キャリア戦略をマーケティングから考える』の中で、一番重要だと思います。
バリュープロポジションを作り上げることが、他人と競争せずに勝つための必要条件だと感じました。
強力なバリュープロポジションを築き上げることができれば、いろんな会社からスカウトがひっきりなしに来るようになるでしょう。
バリュープロポジションを作り上げるステップは4つになります。
- 自分の強みが何なのか徹底的に考える。なければ作る。(自分の強み)
- 自分の強みを必要としている人が誰かを考える。(ターゲット)
- ターゲットがなぜあなたの強みを必要としているか考える。(ニーズ)
- 相手が求めることに、いかに応えるか。(具体的な自分の仕事)
上記のステップでバリュープロポジションを作り上げることができますが、そこにはポイントがある、と著者は語ります。
ポイントは、ライバルとの戦いを避け「戦わずして勝つ」ことを目指しつつも、「ライバルは意識しろ」ということだ。
常にライバルの動向に注意を払い、ライバルに勝とうとせずに、むしろ戦いを避けながら、ライバルがいないところで自分しか提供できない価値をターゲットとなる相手に提供し続けていくのだ。
自分の強みだ!と思っていることをライバルも提供できるのであれば、バリュープロポジションの必要用件を満たさないので、競争する羽目になります。
だから、ライバルが提供できない自分の強みを作り上げる必要があるのですね。
バリュープロポジションを作るはじめの一歩は、自分の強みを見つけること、作ることです。
しかし、自分の強みがどれくらいの価値があるのか、わからないこともあるでしょうし、どういうステップで自分の強みを高めていけばいいのでしょうか?
その疑問を解決するために、問診項目があります。
- 自分の仕事が好きか?
- 自分の仕事ぶりを必要とする人がいるか?
- 自分の仕事ぶりは、自分以外は提供できないレベルか?
- 自分の仕事ぶりは、真似するのが難しいか?
上記の4つの質問に、すべてYESと答えられれば、自分の強みがより強力なことをしめす。
最低でも、自分の仕事ぶりを必要とされたうえで、自分以外の人間が提供できないレベルまで到達することで、固有の強みになります。
まとめ
『「あなた」という商品を高く売る方法―キャリア戦略をマーケティングから考える』は自分のキャリアを真剣に考えだした人が全体像を知るのには最適な1冊だと感じました。
バリュープロポジションを作り上げるためには、自分の強みを作ることが必要になります。
100人中1位のジャンルを3つもてば、100万人中1人の存在になれます。
さらに言えば、100人中1位のジャンルを10個もてば、100000000000000000000 (1 垓 )中1人の存在になれます。
世界の人口を超えているので、地球上で唯一無二の存在といえます。
ただ、そんな唯一無二の存在であったとしても、必要としてくれる人がいないと、キャリアを考えるうえでは意味がありませんので、ニーズがあるかを常に考える必要があります。
とにもかくにも、就職や転職、ビジネスパーソンとしてのキャリアを考えるとき、自分という商品を高く売る方法を学ぶだけでなく、自分という商品の強みを理解し、より強化して市場における商品価値を高めておく必要があるでしょう。
希少な人材になれば、市場価値が高まり、ひっぱりだこの存在になれることでしょう。
希少な人材になったとしても、入社した会社が斜陽産業かつ、面白くない仕事だったら、どうしようもないので、中長期的にみて、業界、会社が伸びていくか、どうかも見極める必要があります。
どういった業界、ジャンルが伸びていくかを見つけるには、常にアンテナをたてて、最新の情報をキャッチアップしていくことが大事だと思います。
アプリ、RSS、メルマガ、ウェブサイト、書籍、セミナー等々、いろんな情報獲得の手段がありますが、ビジネス全体の知識を網羅してみにつけておくと、大きな方向性を間違えるリスクも低くなるでしょう。
ビジネス全体の知識を網羅して身につけるには、読書が最適です。
『外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術』の書評|2種類の読書で圧倒的な結果を出せる
上記の書評記事で紹介している『外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術』には、『これだけ読めばいい!「ビジネス書マンダラ」』というビジネス書を71冊紹介してあります。
自分の仕事のキャリアを考えるうえで、ビジネスの全体像を網羅して知っていることは非常に大きな強みになるでしょう。
全体像を知っていれば、道に迷いにくくなりますし、経営戦略、マーケティング、財務など仕事に重要な知識を知っていることだけでも、強みの1つとなります。
もちろん、浅い理解では、強みとは言えないかもしれませんが、知らないよりは、知っておいた方がいい知識です。
自分のバリュープロポジションを見つけるにしろ、これから作り上げるにしろ、ビジネスの全体像を知っていることは、非常に大きな強みになります。
幅広い情報や知識を持っていると、選択肢の幅が広がりますし、アイデアも湧いてきます。
『「あなた」という商品を高く売る方法―キャリア戦略をマーケティングから考える』は、自分のキャリアを考え始める第一歩として、いい書籍だと思います。